ミカン科
原産地…中国
季節の香り…ユズは日本料理の名脇役!!
独特の香りと、果皮の黄色が鮮やかなユズ。この特徴を生かして、昔から料理に欠かせない吸い口や薬味などの名脇役として広く利用されています。
その芳香と彩りが季節を感じさせ食欲を呼び醒ましてきました。
ユズの故郷は、中国の揚子江上流が原産といわれています。
わが国には唐の時代に北京地方から朝鮮半島を経て渡来したといわれていますが、日本にも古くから山口・徳島県に野生のユズが散在する。
また、奈良時代にはすでに、薬用や食酢としての利用を目的として、栽培されていたことが記録に残っています。
古くはユ(柚)と呼んだが、酸っぱいので「ユの酢」と呼んだのが、ユズとなったといわれています。
ユズは柑橘の中では最も耐寒性が強く、栽培が九州から東北南部地方まで広がっています。
ユズは種子をまいてから結実するまで、長期間を要するため、俗に「桃栗3年、柿8年、柚は9年で成りかかり、梨の大馬鹿18年」といわれている。
<品種>
ユズの栽培では、当初実生による繁殖が行われていたため、系統による特性のバラツキがみられた。
高知・徳島県など主産県において系統選抜が実施されて、その中から優良系統が選抜されました。
◆木頭(きとう)
徳島県那珂郡木頭村で選抜された系統で数系統あり、いずれも豊産性で大果である。果汁も多く果皮が厚い。
◆山根(やまね)
山根系は阿南市の山根氏の園で選抜されたものです。
果実は中玉から大玉で、果形は偏平で玉ぞろいがよい。
◆平の香(たいらのかおり)
徳島県那珂郡木頭村で、ユズに由来すると思われる偶発実生をみつけた。
果実の形は在来系のユズと比べてやや腰高で、果項部周辺の凹環が円盤状にかなり突出している。果面は粗く果皮は黄橙色で厚く、香気は強い。
◆花柚(はなゆ)
中国から渡来したものといわれているが、起源は不明である。
果実は50〜70g内外。扁球形で、果皮は淡黄色。剥皮は容易で、柚に似た芳香がある。果汁は多く酸が強い。柚と同じく料理用に適する。
古来花を酒や汁物(吸い物)に浮かべ風情を楽しんだようで、花柚と呼ばれるようになった。
<出回り期>
青ユズ……ハウスものは4月〜7月。露地物は7月〜10月。
黄ユズ……露地物は10月〜12月。貯蔵物は1月〜4月。出荷量が最も多いのは12月です。
花ユズ……3月〜4月。
<主産地>
高知県は全国の生産量の40%を占める。
徳島産は30%。愛媛・九州地域など。
<選び方>
形がよく、色がきれいで、果皮の厚いものが良い。
果皮がしなびたもの、傷もの、星(黒い斑点)の出たものは鮮度が低下しています。
<保存法>
適温5℃。ポリ袋に入れる。またはラップで包み、冷蔵庫に入れておけば新鮮さを保てる。
<栄養価>
ユズの香りは果皮にある油胞に含まれる精油による。香りの主成分はリモネン、ピオン、テルピネンなどである。
ユズにはビタミンC、A、Pなど。ミネラルではカルシウム、カリウムなど有機酸ではクエン酸など含まれています。
風邪の予防、体内の浄化作用、動脈硬化の予防や疲労回復、美肌作用に効果があるといわれています。
冬至にユズ湯につかると、邪気を払い、血行をよくし、体を温めることから風邪などの予防によく、また、ひびやあかぎれをいやすという言い伝えがあります。
※ ユズ湯はユズを2つに切り5、6個をガーゼかさらしの袋に入れて、湯に浮かべます。
<利用法>
ユズは熱を加えても香りが消えないために、和食料理や器として、また、菓子類などにも利用される。ユズの用途は実に多彩である。
青ユズ……果皮を薬味、吸い物。果汁は焼き魚などに。
黄ユズ……果皮を吸い物、椀物の料理のつまに、ユズ味噌、ユズ釜、器に、
マーマレード、ジャムなど。 果汁はポン酢や木酢などに使われる。
柚釜……ユズを器に見立ててその香りを料理にとりこんだもの。
柚香蒸し……ユズを輪切りにし白身魚などに香りを移して蒸したもの。
ユズ味噌……練り味噌にユズの皮をすりおろして混ぜ、ふろふき大根やあえも
のに使うなど。
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