たけのこ





イネ科マダケ属


たけのこは買ったら、その日のうちに茹でてアクを抜く!!

 たけのこは「朝掘ったら、その日のうち食べろ」と言われるくらい鮮度が大切なものです。掘りたては生のまま食べられるほどですが、時間が経つとアクが出て苦味やえぐみが強くなります。なるべく新鮮な物を選び、すぐに下茹でしてアク抜きしましょう。

 春の訪れを告げるたけのこは、竹の地下茎の節から出る若芽のことで、地表にたけのこの先端が少し現れたところを掘り出します。
 日本には600種以上の竹がありますが、その中で食用になるのは6〜7種で、一般に私たちが食べているのは中国・江南地方が原産の孟宗竹です。日本には1736年に沖縄から鹿児島へ導入されたのが栽培の始まりで、それ以降全国に広まりました。
 このほかに、孟宗竹よりも古くから利用されていた淡竹(はちく)や、6月頃に出回る細い根曲がり竹などがあります。
 主な産地は九州、四国地方や京都府、茨城県などですが、石川県でも栽培が盛んです。また、中国や台湾などから水煮にした物や、乾燥した物が輸入されています。
 金沢市のたけのこは、南部の山麓地帯の特産品ですが、その歴史は、明治3年に内川村へ江戸から「孟宗竹」を持ち帰り植え付けたのが最初で、現在は内川、富樫地区一帯で栽培され、内川地区では「別所たけのこ」として産地化が図られました。

<品種>
[孟宗竹(モウソウチク)]
 たけのこの中で最も代表的で生産量が多い品種です。
 薩摩の島津吉貴候によって、1736年(元文1)、現在の鹿児島市磯公園に琉球経由で入った株が植えられたのが最初で、以後青森県以南の各地に広まりました。
 たけのこは、年末に早堀の物が出ますが、一般的には2月下旬頃より西南団地から出始め、産地が北上しながら5月下旬頃までの間、各地域で収穫が続きます。
 孟宗竹のたけのこは大型で肉厚ですが、柔らかくて香りがあり、えぐみが少ないのが特徴です。

[淡竹(ハチク)]
 中国原産。耐寒性もあり北海道南部以南で栽培されていて、孟宗竹が終わる5〜6月頃にかけて出回るマダケ属のたけのこです。
 皮の色が赤紫色をしていて、切り口の直径が7〜8cm、長さ15cmくらいの物が若くて美味しいものです。淡竹は甘味にはやや欠けますが、比較的えぐみも少なく独特のしゃきっとした歯ざわりがあります。


[根曲がり竹(ネマガリタケ)]
 千島・サハリン(樺太)・北海道・東北地方・鳥取県大山(だいせん)までの日本海側に分布しており、6月頃に出回る太さ1〜2p位の細いたけのこです。根元で茎が湾曲して立ち上がることからその名が付きました。
 肉質はやや硬めですが味がよく、矢竹(やたけ)や布袋竹(ほていちく)と同系の日本の原生種です。和名をチチマザサと言うササ属に分類され、「すずこ」とも呼ばれて古くから食用とされてきました。


<選び方>
 
"皮に艶があって適度に湿っている物を"

 
形も大きさもまちまちで選びにくいたけのこも、手に持ってみると、重さにバラツキがあります。大きくても軽い物は避けましょう。
 ずんぐりした中型の物で、持って重みのある物を目安にし、皮のうぶ毛を見ます。つやつやした褐色で密生していれば良い物です。乾いてしおれた感じの物は、時間がたった物です。
 次に穂先を見ます。ほんの少し黄色い部分が閉じ加減についていますが、育ち過ぎた物は、黄色より緑がかった色になり、勢いよく伸びています。こうなると、えぐみが強くなりますので注意して下さい。
 最後に切り口を見て、白くてみずみずしければ新鮮な物です。茶褐色に変色した物は、避けましょう。

<保存法>
 "水煮してから、水につけて保存しましょう"
 
堀たてのたけのこは、どんどん鮮度が落ちてしまうため、そのままでは保存できません。すぐに使わないときには、丸ごとゆでて水煮にし、冷蔵庫に保管します。
 この時に、たっぷりの水に浸し、時々水を取り替えると、5日前後は保存できます。また、冷凍には不向きですが、長期保存用として、干したけのこや塩漬けにした物が市販されています。


∞∞ 調理のコツ ∞∞
 "下ゆでには米ぬかを入れてアクを取ります"
 
※アク抜き
 たけのこはできるだけ早くゆでて、アクやえぐみを取ります。ゆでる時には、たけのこの先端を斜めに切取り、さらに皮のところに切り目を1本縦に入れて火の通りを良くします。
 大きめの鍋にたけのこがかぶるくらいの米のとぎ汁か水を入れ、米ぬか1カップを入れます。米のとぎ汁や米ぬかを使うのは、たけのこのえぐみの成分がぬかのカルシ ウムと結合して中和されるからです。
 約1時間くらい弱火でコトコトとゆで、竹串がス−ッと通るようになればゆで上がりです。ゆで汁につけたまま冷まし、皮を除いて水洗いして使います。


 
※切り方
 繊維質のたけのこは根元になるほど硬くなるので、先端は大きめに、根元は薄く切ったり、細かく切って食べやすくするのがコツです。一般に、煮物には横にやや厚めに切り、炒め物には縦に細切りすると、歯触り良く仕上がります。
 また、たけのこには真ん中に隙間のある部分があります。縦に刻む時にはポロポロにならないようにするため、まず半分に切ってこの隙間部分を切り取り、そのあと、薄くスライスして千切りにします。


<食べ方>
 "春の息吹を組み合わせて食べる"
 栄養価の低いたけのこですが、他の食品との相性が良いので、バランスよく組み合わせて使うことをすすめます。海草、魚介類、野菜、肉、卵などと合わせやすいですし、調理方法も、和、洋共に使えて重宝します。


<栄養と効能>
 たけのこは、タンパク質を多く含み、ビタミンB1,B2のほか、食物繊維も多く含まれています。また、ゆでたたけのこの節の間に良く見かける白い結晶のような物は、チロシンと言われるアミノ酸の一種で、老化防止などの効果があります。


≪こんなこと知っている≫
 "メンマはたけのこの長期保存品"
 たけのこは、地上に芽を出してから10日目(一旬)で竹になってしまうことから、「筍」とも書きます。約90%は水分で、ゆでたときにできる白い粉は、デンプンとチロシンと言う、たけのこの成分との結晶で、害はありません。また、加工品として有名なメンマ(しなちく)は、中国産の麻竹を蒸して、塩漬けにし、乳酸発酵の後、天日乾燥させたものを戻して調味した物です。