スイカ




「西瓜」(ウリ科 スイカ属)
原産地・・・南アフリカ

夏場の栄養補給と 夏ばて防止に!!

 夏の味覚を代表するスイカは、夏の風物詩として江戸時代から今日に至って いる。色鮮やかな切り口は、みずみずしく、すがすがしい香りが涼を運んでくれます。
 名の由来は…中国では西から伝わったので西瓜(シィグァ)と呼んでいた。 それが日本にそのまま伝えられ、転じて〈スイカ〉となったといわれています。
 スイカ栽培の起源は古く、4000年前に古代エジプト人が栽培したことが今日に残っている絵画で立証されています。
 当時は種を食用に供し、また、熱帯の乾燥地で飲料や薬用に供したが、後に地中海地方や東アジアで果実的用途に発達した。
 スイカは原産地の南アフリカから中国(11〜12世紀)、ヨーロッパ(16世紀初頭)、アメリカ(17世紀)と伝わっていきました。
 日本へ伝わった時期については諸説があります。安土桃山時代(1560年代)にポルトガル人が持ち込んだという説。また、17世紀中期に隠元禅師が中国から持ち帰ったといわれる説があります。
 しかし、鳥羽僧正(1053〜1140年)の「鳥獣戯画」にスイカらしい絵が描かれていたり、僧義堂の「空華集」(1359年)にスイカの詩が見られる事から、もっと古い時代に伝わって平安朝後期に作られていたのではという見方もあります。
 江戸時代の「農業全書」(1696年)や本草図鑑(1828年)にスイカの記述があり、天保年間の絵馬にはスイカの切り売りの様子が描かれていますが、無地皮になっています。
 現在のスイカは、緑の地に濃緑の縞模様が一般的ですが、こうした品種が広まったのは、昭和初期以降で、それまでは黒皮、無地皮が一般的でした。「鉄カブト」とも呼ばれていたそうです。
 江戸時代には果肉が赤いのは気味が悪いとされ、あまり食べられなかったのでは…。
 明治末期になって、多くの品種が導入されたが、アメリカからの導入品種アイスクリームが日本の風土、嗜好に適し、在来種を圧倒、この馴化系およびこれと在来種の雑種系が普及した。こうした雑種系を整理する為、大正から昭和初期にかけて計画的育種事業が行われ、奈良県で水田地帯向けの大和群、遅れて千葉県で畑作地帯向けの都群の一連の品種が育成されました。
 現在の日本の実用品種(ほとんどが一代雑種、F1)は、多かれ少なかれその流れをくんでいます。

<品種>

 果形、大きさ、果皮色、縞の有無、果肉色が多様であります。
 現在、市場で流通している主要品種は、縞王マックス、ファィンエース、甘泉、富士光、日章、天竜2号、紅大、ハニーシャルマン、夏玉マイルド、金時、紅小玉、黄小玉、ポニー(ラグビーボール型)など。
◆ 大玉スイカ
 日本のスイカの主流。果重が5〜7sで、豊円からやや長めの球形。
 淡緑の地に濃緑の縞があり、果肉の色は桃色から赤色。肉質にシャリ 感(歯ざわり)があり、甘みに富み、種は小さく少ない。
※ 黄皮スイカ…果皮は黄色で、果肉は赤色の太陽スイカ。果肉も黄色の 三河黄色。
※ 緑皮スイカ…果皮は淡緑で果肉が黄色の大和クリームなど。
※ 黒皮スイカ…果皮は黒く、果重は6kg前後で、果肉は赤色のブラック ボール。また、果重は4s程度で、偏円形で果肉が黄色のスイカもあり ます。
※ 黒部スイカ…明治末期にアメリカから富山県に導入されたラットルスネークの馴化(じゅんか)系である。果重は15〜20sにも及び俵形 の極大果で、果肉色は桃色、肉質はかたく、糖度はあまり高くない。 味はやや淡白。果皮は淡緑色に、太い縞が入る。
 富山県の特産品として有名である.日持ちが良く輸送にも耐える。主 として贈答用に使われています。
◆ 小玉スイカ
 大玉スイカと同じく、淡緑色に縞皮と果形も変わらないが、果重は、 1〜2kgで、冷蔵庫に丸のまま入るのがセールポイント。
 肉質は大玉よりざらつくが、甘みに富む。果肉の色は赤系だけでなく、黄系も多い。果形も豊円形からラグビーボール形などあり、小玉スイカは果皮が薄くぎりぎりまで食べられるが、割れやすいのが欠点である。
◆ 種無しスイカ
 日本で開発された技術で、かなり注目されたが、発芽させるのがむずか しく、果実が変形したり、空洞になりやすいなどの欠点があり、十分な改良が加えられないまま、実用的な意義を失い、現在はあまり栽培されない。
◆ 漬物用スイカ
 和歌山県の特産スイカの源五兵衛の幼果は、粕漬けに用いられる。生食 用のスイカとは異なり、シトロンウリとよばれる仲間で、成熟しても2s 程度。球形の縞皮で、果肉は白く硬い。もっぱら漬物用として加工されています。
◆ 種子用スイカ
 スイカに葉も花も似ているコロシントウリは、スイカと交雑すると稔性がある。果肉は白く強い苦みがあり食用にはならないが、製薬原料として利用されている。この種子には苦みはなく食用になる。 中国料理では、種子を乾燥して味付けし、前菜のつまみ菓子として利用する。
◆ 変わりだねスイカ
 毎年マスコミをにぎわす角型スイカは、普通の球形の品種を四角の箱に入れ無理に四角にしたものです。四角になる分だけ皮が厚くなるので品質は劣る。

<出回り期>
 周年出回っています。加温・ハウス・トンネル・露地栽培があり、時期を 追うごとに産地は北上してゆき、熊本・鳥取・千葉・茨城・石川・新潟・東 北・北海道産など順に出回ってきます。冬場には高知・沖縄産が出回る。
 小玉スイカは、4月〜7月に長崎・和歌山・静岡・群馬・茨城産など。
 また、石川産は6月〜7月に出回ってきます。

<主産地>
 @ 熊本 A 千葉 B 山形 C 鳥取 D 新潟 … など。
 石川産(金沢市・河北郡・羽咋市の砂丘地)(羽咋郡・鳳至郡・珠洲市の赤土)

<選び方>
 形が良く、果皮の色ツヤがよく、縞目が鮮明なもの。指ではじいたとき、コンコンと澄んだ音がするもの。音が低く鈍い濁っているものは、中に空洞がみられる。
 カットしたスイカを選ぶ場合、種がきれいな黒色で、種まわりが少しすいているものがよく熟していておいしい。

<食べ方>
 冷蔵庫に入れて冷やしておくのが一番。
大きい場合は、1/2か1/4に切って、切り口はピッタリとラップで包み、切り口を上にして保存するとよいです。

<栄養価>
 スイカは、90%以上が水分ですが、カリウムが多く含まれ、また、尿成分を作るのに関与しているアミノ酸のシトルリンを含むので、利尿効果が高く、腎臓病の予防、むくみ改善、高血圧の予防。体を冷やす作用もあり、日射病・熱射病・夏バテ・夏気あたりのときに効果があり、二日酔いなどに有効といわれています。
 種には、タンパク質や脂肪が多く、ビタミンB群やEも含まれています。 中国では、前菜として食べられ、強壮・強精の効果もあるといわれています。
 スイカは美容と健康によい代表的な夏のフルーツです。

<スイカのあれこれ>
 東京オリンピックの金メダリスト、エチオピアのアベベ選手がマラソンの競技中、飲んでいたのは、特製スイカ・ジュースであったそうです。残念ながら、その味については、伝わっていない。