「辣韮」(ユリ科ネギ属)
原産地・・・中国
暑さを乗り切る健康野菜
らっきょうは梅と同じく、この時期にしか出回らない。季節感たっぷりの野菜です。
独特の香りと辛みを持っていながら、カリカリした歯ざわり。一度食べると病みつきになるのが、らっきょうの魅力です。
らっきょうは、玉ねぎと同じく地下の茎が大きくなったものです。中国産の野菜で辣韮(辛いにら)と書きます。和名を(おおにら)と云います。
中国東部から中央部にかけて野生しているのでこのあたりが原産地と見られている。
中国では紀元前から栽培され、現在では主産地が中央部から南部に移っている。
日本へは平安時代(9世紀)に中国から伝わったとされており、おおみら(於保美良)とよび薬用としてもちいられていたようです。
野菜として普及したのは江戸時代。(農業全書)には、味は少し辛いがくさみが比較的少なく、人を補い温める食物として、また、栽培法も述べられている。
らっきょうは歯音ありて気味おもしろき食物とし、酸味増でもよく、ゆでて酢と醤油に漬けたものは味が良いなどと、多くの食べ方をあげている。これらの記述をみると、現在よりも生活に密着した重要な食物であったのかも知れない。
<品種>
らっきょうは、種が出来ないのでもっぱら地下の球で増える。
品種はきわめて少なく、"八房"、"らくだ"、"玉らっきょう"、"九頭龍"な数品種。
らっきょうは普通、植え付けて2年目に収穫します。
◆ らくだ
らっきょうの代表的な品種(在来種)で大球、各地で栽培されている。
※ らくだという言葉は、江戸時代に形ばかり大きくて品質が劣るものを云った言葉と云われている。野菜としてはらっきょうと長芋の品種に有る。
◆ 八房
全国各地に散在しているが、らくだと玉らっきょうのほぼ中間型で、収穫も少ない。
◆ 九頭竜
らくだに近い福井在来系から小球・丸型で年に10〜15球まで分球す
るものを選び出した品種である。球の揃いもよく、1年物で十分花らっきょうに使える。
◆ 玉らっきょう
台湾から導入された品種で、白色で小球。
酢漬けの花らっきょうになります。
花らっきょうの名前は球の両端を切って漬ける事から名づけられまし
た。 生産地ですぐに漬物にされるので、生のものはほとんど出回りません。
◆ エシャロット
根つき、葉つきの若採りのらっきょう。
この名前は、昭和30年に売り出す際、フランス語で玉ねぎなどのことをエシャロットということから名づけられました。その後、こちらの方が普及してしまい、輸入された本来の小型玉ねぎ"エシャロット"は"ベルギーエシャロット"と呼ばれています。
<主産地>
@鹿児島 A鳥取 B宮崎 C福井 D千葉 … など。
鳥取県や福井県の砂丘地では江戸時代かららっきょうの栽培があり、明治の後期には県外に出荷も始まっていた。
鹿児島県や栃木県などは主に大球を生産し、福井県は花らっきょうの産地として有名である。
<出回り期>
塩漬け、甘酢漬けは周年出回っていますが、生らっきょうは5月〜7月に出回ります。
6月には、石川県河北郡の内灘町、宇ノ気町、七塚町の新鮮な生らっきょうの出回りとなります。
<選び方>
生らっきょうは、主に水洗いした「洗い」と、掘り取ったままの「泥付き」のもの有ります。
外皮に傷がなく、丸味を帯びて、しかも小粒でよく揃っているものがよい。
日に当たると緑色になり硬くなるので、白い色のものが良い。
<保存法>
芽が出やすいので、冷蔵庫の野菜室などで保存します。
泥付きのほうが持ちが良いのですが、洗いものは早く漬物などにしましょう。
<利用法>
漬物・煮物・揚げ物・酢の物・生食 … など。
日本で代表的な甘酢漬けのらっきょうは、カレーの薬味に欠かせません。
東南アジアでも塩と酢で漬け、カレーとともに食べられています。中国で
は漬物のほかに生食、台湾では煮物にも用いられています。
買ってきたらっきょうは、塩漬けにしておくと、甘酢漬け、たまり漬けへと好みに応じてアレンジできるので便利です。
<栄養価>
らっきょうには、ねぎ類特有の硫化アリルを含んでおり、ビタミンΒ1の吸収を促進するので疲労回復に効果があります。
また、らっきょうを食べるとエピネフリンというホルモンの分泌を促し、脂肪の燃焼や心臓の機能を上げます。そのほか、食欲増進、健胃、整腸、殺菌解毒、冷え性、ぜんそくの緩和など多くに効果がある健康野菜です。
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