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蕪(かぶ) |
アブラナ科アブラナ属
かぶの葉を食べてガン防止!!
かぶはアブラナ科の植物ですが、このアブラナ科の野菜を食べるとガンの発生率が低下すると言われています。かぶの葉に含まれるビタミン類の多様さをみますと、うなずけますね。
また最近、べ−タカロチンに制ガン効果があることが解ってきましたし、ビタミンA・Cにもガンを抑制する働きがあります。
春の七草のすずなとして、古くから親しまれてきたかぶは、アフガニスタンあたりか、または地中海沿岸を加えた地域が原産地と言われ、ヨ−ロッパでは紀元前から栽培されていたようです。
日本へは弥生時代に中国から伝わったとされ、その後、「日本書記」には持統天皇が五穀(主食)を補う作物として栽培を奨励したと記されていますから、かなり古くから存在していたことがうかがえます。
このような長い歴史の中で多くの地方品種が生まれてきており、日本は世界的に見ても品種育成の先進国で最も栽培が盛んな国であります。
かぶで特徴的なのは、関が原(岐阜県)を境に、東日本と西日本で系統の違う物が栽培されていることです。
この経緯は中国を経て渡来したアジア型は西日本に、そして朝鮮半島を経て伝わったヨ−ロッパ型は東日本に定着しています。アジア型とヨ−ロッパ型の境界線は、愛知=岐阜=福井を結んだ線で"かぶら・ライン"と呼ばれています。
<品種>
日本で栽培されているかぶは、赤かぶ・白かぶ・大・中・小かぶと多種多彩で全国各地に、約80種の品種が存在しています。
[ヨ−ロッパ型(西洋型)かぶ]
日本に渡来した時期はアジア型かぶより遅いが、耐寒性があるので東日本の寒冷地で定着し、多くの地方品種を生み出しています。
ヨ−ロッパ型としては山内・長かぶ・温海・小かぶ等が代表的な品種で、東海・北陸・甲信越・関東・東北で栽培されています。
★山内かぶ(やまうち)
ヨ−ロッパ型のかぶとしては、最も南の福井県に産する古い品種です。アジア型との雑種で、肥大した根は先の尖った球か円錐形になり、皮が白く青首で、肉質は硬い。北陸地方には同系の品種が多く、金沢や富山等でもかぶら寿司用として栽培されています。
★長かぶ
東北から関東に分布。肥大した根は長円筒形か長円錐形になり、皮は白く青首で、肉質が硬く漬物用に向いている。
★温海かぶ(あつみ)
山形県のかぶで、山間地の焼畑で古くから栽培されていました。肥大した根は偏球形で、根の部分の皮は紫紅色だが、肉内部は白く硬めで、漬物に向いています。
長野の開田、岐阜の飛騨紅、富山の利賀紅なども同系で、いずれも地方名産の漬物用として使われています。
★小かぶ
小かぶはヨ−ロッパのミラン・ホワイトと同系とされ、東京を中心に関東一円で普及しましたが、最近では全国的に栽培されています。
肥大した根は偏球形で、外皮は白く滑らかで美しい。また肉質が緻密で柔軟性もあり品質的にも良い。
金町小かぶが主体で、早生、中生、覆下(おおいした)、時無し等の系統に分化していきました。最近はこれらの間のF1(一代雑種)が育成され、一年中生産されています。
糠漬けや酢漬けには春先の柔らかい小かぶが美味。冬場は甘味が増すので、炊き合わせや煮物も美味しい。
[アジア型かぶ]
アジア型のかぶは肥大した根が中かぶから大かぶの物が多く、関西を中心に西日本で広く栽培されています。アジア型には、寄居・今市・天王寺・聖護院・大野紅・津田・日野菜・すぐき菜等があります。
★寄居かぶ(よりい)
アジア型かぶとしては最北端の新潟県で生産されています。300年ほどの歴史を持つ白い中かぶで、肥大した根は偏球形で中央部分がややくぼむ。
根の肥大が極めて早いのですが、肥大後は劣化しやすいのが難点です。
やや黄色味を帯びた白皮で、肉質が柔らかく風味があり、煮物・汁物・漬物等に使われます。また形が偏平で座りが良いので、くり抜いて詰め物にも利用されます。
★今市かぶ(いまいち)
奈良県産の中かぶです。根は純白色で、形は偏球形であるが、甘味があり、肉質が良いため、ふろふきや漬物用(千枚漬け・なら漬け)によく利用されています。
★天王寺かぶ
大阪・天王寺付近で栽培されていたかぶで、中型かぶの代表的品種です。肉質が緻密で柔らかさがあるため、煮物に多く使われます。また、葉も茎も柔らかいのが特徴で、根と一緒に煮たりもします。
関西以西では改良品種が栽培されており、福岡の博多据(はかたすわり)かぶ香川の屋島かぶ・山口の武久(たけひさ)かぶ等も同系です。
★聖護院かぶ(しょうごいん)
関西を中心に広く分布する大型のかぶで、大きい物は4kg程にもなります。肥大した根は球形で、外皮は純白色となり、肉質は緻密で柔らかく、上品な甘味を持っていることから、一代交配種が育成され、これが広く栽培されるようになりました。
このかぶを利用した千枚漬けは京都の名産品になっています。漬物にされるほか、繊維が少ない上に煮崩れしにくいので、かぶら蒸しや煮物にも利用されます。
★津田かぶ
アジア型のかぶで、島根県を中心にした山陰地方で多く栽培されています。肥大した根は牛の角のように曲がるため牛角とも呼ばれ、上半分は地上に出て淡い紫色になり、地中の下半分が白色です。
生育の初期に葉の部分の発育が著しいため倒れて曲がった形になると言われ、コロゲかぶとも呼ばれています。煮物、漬物どちらにも利用される。
★日野菜(ひのな)
滋賀県から三重県にかけて栽培されていて、肥大した根は細長い円錐形のかぶです。上半分は地上に出て淡い紫色になりますが、地中の部分は純白です。ほとんどが葉を付けたまま漬物(糠漬け・塩漬け・酢漬け)として利用されていますが、中でも滋賀県蒲生郡日野の桜漬けは有名です。
愛媛の伊予緋(いよひ)も同系とされていますが、肥大した根は偏球形です。
★酸茎菜(すぐき菜)
京都市上加茂を中心に栽培されているかぶで、葉は長大ですが、肥大した根は葉に比べて小さく紡錐形です。漬物にするとき葉付きのまま塩漬けにして、これを発酵させるため、独特の酸味が生まれることからこの名が付きました。
長野県の野沢温泉を中心に、信越地方で栽培されている野沢菜は、野沢菜漬けとして有名です。この野沢菜はアジア型のかぶの一種で、200年ほど前に野沢村の健命寺の住職が、大阪に出向いたときに天王寺かぶの種を持ち帰ったのが始まりと言われています。
大阪と違って寒さが厳しかったため、葉だけが伸びてしまい根が肥大しなかったと言う説と、信州に古くからあったヨ−ロッパ型のかぶと自然交雑して作られたと言う説がありますが、いずれにせよ、すずな、かぶら菜と呼ばれていた古代からかぶらは葉を食用にしていたので、うなずける話です。
<選び方>
"肌のきめが細かく、艶があるものが新鮮"
かぶは表皮の肌が白く艶があり、きめの細かい物、そして葉がピンと伸びて勢いがあり、鮮やかな緑色した物を選んでください。
表皮に傷や割れ目がある物や、触って柔らかい物は避けましょう。
<保存法>
"買ってきたら根と葉に分けて保存しましょう"
葉つきのまま置いておくと水分が蒸発してしまうので、買ってきたらすぐに根と葉に切り分けて、根は密封できるポリ袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で保存します。
葉は霧を吹きかけてポリ袋に入れれば冷蔵庫の野菜室で2〜3日は持ちますが、栄養価が落ちてしまうので、長期保存したい時は塩ゆでにして冷凍すると良いでしょう。
根と葉を分ける時は茎を少し残して切り分ければ、調理したときに彩りも美しく仕上がります。
"皮を剥いたら、しばらく水にさらします"
※切り方
こかぶを茎付きで使う場合は、茎の周囲の皮を外側の固い茎ごと削り取ってから皮を剥き、これをたっぷりの水にしばらく浸けて置くとアクが抜けて美味しい調理が出来ます。
中型や大型のかぶは、皮を剥いてから輪切りや薄切り等にしますが、皮は厚めに剥いたほうが美味しくいただけます。また、剥いた皮は漬物に利用できます。
※加熱
煮る時は煮崩れしないように面取りをします。また、含め煮などに使う場合は下ゆでをしたほうが味が含みやすくなります。この場合は米のとぎ汁を使って、竹串がすっと通るまでゆでます。ゆで上がったら落とし蓋をしてその上から流水をかけるようにして洗い、直接水をかけないようにすると、ふっくらとゆで上がります。
かぶは火の通りが早いので、煮過ぎないことがポイントです。煮過ぎると、せっかくの美味しさが消えて筋っぽくなります。特に、ハウス物は肉質が柔らかく、煮崩れしやすいので注意して下さい。
<食べ方>
"根部だけでなく栄養豊富な葉も美味しいので、両方とも料理に活用しましょう"
根部 ― 煮物、酢の物、蒸し物、漬物、サラダ
葉 ― 炒め物、和え物、味噌汁の具、菜飯、煮物、漬物
<栄養価と効能>
かぶの成分は大根の成分とよく似ています。根部にはビタミンCや消化酵素を助けるジアシスタ−ゼが多く含まれていますが、栄養的には葉の方が上で、ガン予防に役立つビタミンAを始め、ビタミンB2・Cやストレス解消に有効なカルシウムなどが豊富に含まれています。食物繊維の供給源として優れており、便秘にも効果的です。
身体を温め、消化を助ける働きがあることで、昔から天然の消化薬としておなかの薬に利用されてきました。
消化促進・腹痛の緩和・咳止め・二日酔い・ガン予防・貧血予防・ストレス解消などに効果があります。
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