いちご




バラ科イチゴ属

日本人はイチゴが大好き!!

 子供から若い女性、そしてお年寄りまで人気の高い果物がイチゴです。
 その形と色から深紅のダイヤモンドと称され、多くの人々から親しまれているイチゴ、生食での消費量はなんと世界一です。

<日本イチゴの歴史>
 日本では、平安時代の延喜式にイチゴが記載されていますが、当時は野生の野イチゴが食用として利用されていたようです。現在一般的に普及している品種は、歴史的に新しいもので、18世紀にオランダにて、南アフリカ原産のチリ種に北アメリカ原産のバージニア種を交配して育成したのが現在栽培されているイチゴのルーツと言われています。
 日本には江戸時代末期(1830〜1840年)頃にオランダから長崎に伝えられ、当時はオランダイチゴと呼ばれていましたが、あまり人々に認識されませんでした。本格的な栽培が始まり、品種改良・育成が進められたのは明治時代になってからで、フランスから導入されたゼネラル・シャンジー種をもとに育成された「福羽」は日本イチゴの基礎を作った名品種です。
 終戦後(昭和25年)アメリカから「ダナー」が導入されてからは栽培が全国的に普及し、その後新品種の「宝交早生」・「春の香」等のスターが誕生しています。「宝交早生」は昭和50年代にはイチゴ全体の6割の生産量を占めていました。
 日本のイチゴ史に燦然と輝く2大品種「女峰(にょほう)」「豊の香」は色んな品種が混在していた1880年代半ばに登場していますが、食味の良さ、粒の大きさ等で他の品種を圧倒していたことから、この2品種で全国生産量の9割を占めるまでに成長し、東の「女峰」、西の「豊の香」の二強時代が永年に亙り続きました。しかしながら育成から14年以上経った時点で、各県試験場などによるイチゴの品種改良はめざましく、最近では生産県を中心に優秀な品種が出てきました。
 東では「女峰」に変って「とちおとめ」が急激に増え、西では人気の高かった「豊の香」にも陰りが見え始めており、「さちのか」・「さがほのか」への品種更新が始まっています。
 また、東西の2大品種に続き「あきひめ」・「あすかルビー」等、それぞれが育成された主産県でのシェアを高めてきています。

<品種>
 普段はほとんど気にせず食べているイチゴにはたくさんの品種がありますが、その中で最近多く出回っている主なものを紹介します。

★とちおとめ
 栃木県生まれ。「久留米49号(豊の香×女峰)」と「栃の峰」の交配種で「女峰」に代わる主力品種と期待され、育成された品種です。
 果実は円錐形で、平均果重が15g程度。果皮の色は鮮やかな赤色で、光沢が極めて良く、果肉は比較的硬めで、日持ちが良いのが特徴。
 女峰に比べて酸味が少なく、糖度が高い、しかも大玉である。こうした長所から急速に普及し、日本一の産地、栃木県では今や99%がこの品種に変っています。全国的にも平成12年度に「豊の香」の生産量を抜いてトップの座についています。

★豊の香
 福岡県生まれ。農水省野菜試験場、久留米支場で「ひみこ」と「春の香」を交配して育成され、1984年に登録された品種で、九州を始め暖地で促成栽培に適する品種として西日本各地で栽培されています。
 果実は、丸から円錐形の大きい実がつき、光沢のある鮮紅色となります。
 香りが強く、甘味・酸味が調和しているとても美味しいイチゴで、長きに亙ってイチゴの最高傑作品と言われ続けました。


★さちのか
 福岡県生まれ。「豊の香」と「アイベリー」の交配種から選抜して育成され、西日本を中心に拡大している新興品種です。
 果実の大きさは「とちおとめ」・「豊の香」に比べるとやや小さいが、果形は良く整っていて、光沢・着色に優れ、外観も美しい。
 また、甘さは安定して高く、肉質は緻密で日持ちが良い事から、「豊の香」の後継品種として期待されています。


★あきひめ
 静岡県生まれ。「久能早生」と「女峰」の交配種で、1992年に登録された新しい品種です。
 果実は大粒で、すらりとした長円錐形をしていて、艶のある濃い橙赤色の実をつけます。
 また、果汁が多く、甘味の濃いの特徴で、中部地区の各産地では「女峰」からの世代交代が急速に進んでいる品種です。


★さがほのか
 佐賀県生まれ。平成3年に佐賀県農業試験研究センターで大粒の「大錦」と「豊の香」とを交配して開発育成され、平成9年に「佐賀2号」として品種登録。その後平成10年10月に県とJAでは、この品種の振興を図るためブランドイメージのある「さがほのか」と名称を変更し、期待の新品種として売り出しています。
 この品種の特徴は、甘さに加え形が整っていて、果肉が硬い等で、傷みにくく輸送性にも優れている事から「豊の香」に変わる品種として有望視されていて、今では佐賀県全体の72%の栽培面積を占めるまでになっています。


<見分け方>
 品種により赤紅色の濃さに差がありますが、果実の赤色が均一で表面に光沢があるもの、そして、ヘタが青々として張りのあるものを選んで下さい。
 ※ ほとんどがパック詰めされ売られていますので、パックの底や廻りを見て傷みの
  チェックも忘れずに。

<保存方法>
 
品種により多少の差が出ますが、常温で1〜2日、冷蔵庫で2〜3日。イチゴは最もデリケートなフルーツですから、早目に食べきって下さい。
 冷蔵庫へ入れる場合は、イチゴの香りが他の食品に移らないように密閉容器に入れるか、パックごとフリーザーパックに入れ、ジップして保存して下さい。
 冷凍すると長期保存も出来ますが、この場合はきれいに洗い、ヘタを取り除いた後、バットなどに並べて急速冷凍して下さい。完全に凍ってから冷凍用ポリ袋に入れて保存します。

<栄養価>
 フルーツの中でも一・ニを争うほどビタミンCが豊富で、イチゴの可食部100g中約80rを含有しています。成人が1日に必要なビタミンC摂取量は50〜60rには、5〜6粒食べれば必要量を満たすことが出来ます。


イチゴの栄養成分表
(100g中)
  エネルギー
(kcal)
たんぱく質
(g)
ビタミンA
カロチン(µg)
B1
(mg)
B2
(mg)

(mg)
35 0.9 0.02 0.03 80
『四訂食品成分表1998』(女子栄養大学出版部刊)

効能>
 イチゴは手間いらずで簡単に補給できる高いビタミン源があります。ガン等の病気予防だけでなく、美肌づくりやストレス解消にも高い効果があると言われています。
 特にペクチン(食物繊維)は、血中のコレステロール値を下げ、善玉コレステロールを増やす働きがあり、成人病の予防に有効です。
 また、酸味に含まれるメチルサリチル酸には頭痛、神経痛等の痛みを止める働きもあります。

<食べ方>
 そのまま食べるには、ヘタをつけたまま手早く洗うのがポイントです。ヘタを取っ てから洗うと水っぽくなりますし、また、水に長く接していることでビタミンCが流出してしまいます。
 イチゴはさっと水洗いするだけで食べられる手軽さも魅力ですが、牛乳(+砂糖)、ヨーグルト、練乳をかけて食べるのも一般的です。
 このような食べ方は、美味しさだけではなく、栄養学的にも相性の良い組み合わせです。砂糖は、壊れやすいビタミンCを保護する働きをしますし、乳製品に含まれるカルシウムとのマッチングで、栄養価の高いデザートとなっています。

<イチゴの旬>
 イチゴと言えば、今では11月頃から店頭に出始め、3月にピークを迎え、初夏まで続くフルーツとして定着していますが、本来は露地栽培で4・5月をピークとした春から初夏のものだったのです。
 旬が春から冬に変わってしまった背景には、品種改良や育苗技術の発達、そして施設栽培の普及に併う作型の進歩が図られたためです。こうしたことで収穫はより前進化、長期化し、販売期間も年々長くなりました。
 現在栽培されているイチゴのほとんどはハウス栽培によるもので、1月〜3月がハウスでジックリ成熟したイチゴの最盛期、旬の時期です。


ジャムを作ろう
 ジャムとはいったいなんだろう?
 国語辞典で調べてみると《ジャム(jam)果実の肉に砂糖を加えて煮詰めた食品》とあります。なるほどジャムは果物と砂糖があれば何とかなるらしい……と言う事だけは分かるのですがこれだけでは何とも心許ない、そこで百科事典で調べてみました。
 ジャムが日本で作られるようになったのは明治時代になってからで、日本ではジャム作りの歴史が浅い事もあって、単に「果実を砂糖で煮たもの」だと思い込んでいる人がまだ多いようです。
 ジャムとは「ゼリー化」した状態になって初めて「ジャム」と呼ばれるようになるのです。
 このゼリー化というのは、果実に含まれている食物繊維のペクチンが、糖と酸の働きでゼリー状のとろみを持った物質に変わる事ですから、ジャム作りに適したものと、そうでないものは、その果実の含んでいるペクチンや酸の量によって決まってきます。
 つまり、苺やリンゴ、かんきつ類などは、元々ペクチンや酸をたくさん含んでいたのでジャムによく利用されてきたということなのですね。

−いちごジャムの簡単レシピ−
 材料
       いちご300g     グラニュー糖150g     レモン輪切り5枚
 作り方
 @ へたを除いたいちごにグラニュー糖をまぶし、汁が出てくるまでおきます。(約1時間)
 A なべに移してレモンを置き、強火にかけます。出てくる泡とアクはこまめに取り除きます。
 B 中火に変え、20分ほど煮ます。その後レモンを取り除きます。
 C びんを熱湯消毒し、その中いっぱいに入れ、ふたを空けたまま冷まします。
 D 冷めたらふたを閉めて冷蔵庫で保存してください。約1ヶ月は持ちます。