|
だいこん |
アブラナ科・ダイコン属
原産地・・・中央アジア・地中海沿岸
大地の恵みが生んだ…天然の消化剤!!
大根ぬきでは日本人の食生活を語る事は出来ないと言われるほど、昔の人にとって大根は重要な野菜でした。
貴重な米を補う為、主食の分野にまで、大根が進出していた。加えて煮物・漬物・味噌汁の実など。野菜の種類の少なかった昔は、こんな大根づくしの食事も珍しくなかったようです。
明治後期の日本人はなんと現在の3倍もの量の大根を食べていたといいます。当時は薬も少なかったこともあり、食べるクスリとして重視した野菜で、大根はまさに"食べる万能薬"であった。
先人たちの知恵には敬服させられる。
大根は今なお野菜の王様です。現在でも作付面積、収穫量とも第一位です。
日本人の食生活の変化や核家族化が進むなか、大根の品種も大型から小型の青首大根へと移行し、現在では青首系が主流を占めています。
大根の原産地については諸説があり、はっきりしませんが、古代エジプトでは紀元前から栽培され、ピラミッド建設の労働報酬のひとつになっていたとか。
いずれにしても人類が古くから食用にしていた野菜のひとつです。
日本へは中国から伝わり、各地に広まっていきました。「古事記」には清白(すずしろ)の名で記され、女性の白い腕にたとえた歌は有名です。
大根を「だいこん」と発音するようになったのは室町中期で、それまでは於朋禰(おほね)と表記されています。用途が広く栽培も簡単な為、各地で数多くの品種が生まれ、生産量・消費量とも日本が世界一です。
大根を大きく分類すると中国大根とヨーロッパ大根、さらに独特の発達をした日本大根に分かれます。日本大根は中国大根との関連が深く、中国華南型を中心に発達、後に華北型も加わって現在の大根が生まれました。
<品種>
日本の品種には春大根・夏大根・秋大根・冬大根と季節に合わせた品種が栽培されており、それぞれの味わいが楽しめます。春や夏は辛みが強く、体のほてりを鎮めてくれる効果があります。一方、秋冬大根は甘みが増して、おでんなどの煮物に最適です。
日本の品種には次のような系統がある。
* 春取り…亀戸系、二年子系(二年子・時無し・若春)
* 夏取り…美濃早生系
* 秋取り…宮重系(宮重総太・丸尻)、練馬丸尻(秋づまり・大倉・高倉)
* 冬取り…練馬中太系(都・三浦・新三浦)
* 地方品種…聖護院(京都)、桜島(鹿児島)、守口(愛知)、源助(石川)。
◆ 青首大根
現在、主流を占めている青首大根は、宮重系の「耐病総太」が代表品種。地中に浅く根を張り、成長とともに根の上部が地に出てくるので日光を浴び、首部が青くなるので、青首大根と呼ばれています。
甘く柔らかい肉質は、煮物にも生食にも向く万能型で、今風の嗜好にぴったり。しかも扱いやすい小ぶりのサイズが、食べる人と育てる人の両方に歓迎されたのです。
地方の市場や漬物業界では、今もユニークな地方品種が活躍しています。
◆ 聖護大根(京都)
京都を中心に関西に広く分布します。宮重大根の変異で丸型。きめが細かく柔らかいので、煮物や生食に向きます。
◆ 桜島大根(鹿児島)
世界一大きな大根です。通常10s程度で流通しますが、大きいものは20sを超えます。煮物や漬物などに。
◆ 守口大根(愛知)
直径1〜2センチ、長さは大きいもので1.5メートルもあります。漬物が有名。
◆ 源助大根(石川)
太くって短いのが特徴。煮物・生食・漬物に向きます。加賀の伝統野菜の一つです。出回り期は10〜1月。
<主産地>
1.北海道 2.千葉 3.宮崎
4.青森 5.神奈川
……など。
<出回り期>
本来は秋冬が旬の野菜である。品種改良や各作型に適応した新品種の開発により、周年供給されています。
《春大根》…4〜6月。
《夏大根》…7〜9月。
《秋冬大根》…10〜3月。
<選び方>
大根は、白く張りがあって、みずみずしいものを選びます。また、葉やひげ根でも見分ける事ができます。茎の切り口にスが入っているものは、大根自体にもスが入っている可能性もあります。
ひげ根は、その跡がまっすぐ並らんでいて、穴が小さいものが良いです。
最近みずみずしい葉つきのものもあります。葉もおおいに活用できるので、葉つきのまま購入しましょう。
<保存法>
大根は、約95%が水分なので、蒸発しないようにすることが大切です。
葉付きのものは、葉から水分が蒸発しやすいので、買ってきたらすぐに切り分けます。
白い根の部分は、ラップでくるむか、保存用のパックに入れて冷蔵庫の野菜室に立てて保存します。
葉はすぐにしなびてしまうので、下ゆでして冷凍庫に入れれば約2週間は持ちます。
<調理のポイント>
☆にんじんと一緒にすりおろしたもみじおろしは、大根のビタミンCが破壊されるので注意。こんなときは酢やレモン汁を落とすと、にんじんのビタミンC破壊酵素の働きを押さえることができます。
☆ビタミンCやジアスターゼは熱に弱いので、効率よくとるにはサラダやなますなどにしてできるだけ生で。
☆下ゆでをする時には米のとぎ汁か、米やぬかを加えた湯でゆでると独特のクセが抜けます。
☆大根は縦方向に繊維が入っており、これを切るか残すかで口当たりが変わってきます。
<利用法>
大根の味は組み合わせるほかの素材のうまみを引き立てる為、いろいろな料理に使われ、脇役ながら欠かせない野菜のひとつ。
また、根や葉はもちろん、皮までまるごと食べられるのも魅力です。
※大根一本の部位ごとの特徴です。
まず首の近くは繊維が多く固いので、小さく刻む料理(酢の物・サラダなど)やおろしに。
真ん中は最も柔らかく、甘みがあります。形も揃っていますから、おでん・ふろふきなどの煮物、かつらむきに最適。
辛味の強い先端部は、薬味・辛口のおろし、味噌汁の実・漬物におすすめ。
葉は漬物や汁の実、炒め煮にするとよいでしょう。
適材適所の使い分けさえ心得ておけば、大根一本を丸ごと利用できる万能野菜です。
<栄養価>
デンプンの消化酵素であるジアスターゼを多く含み、整腸作用があります。
また、ビタミンCやB2にも富み、美肌効果があります。
繊維質のリグニンが多く含まれており、焼き魚の焦げに含まれる発ガン性物質を分解するオキシターゼは、ガン抑制にも効果があります。焼き魚に大根おろしがつくのはこういうことからです。
葉には根にはないビタミンA・Eが含まれ、ビタミンCは根の5倍多く含まれます。
また、食物繊維などに富み、ガンや骨粗しょう症の予防、貧血の改善などに役立ちます。葉のたんぱく質にはアミノ酸のリジンも多く含まれています。
干した葉を薬湯(湯舟)に入れると体があたたまり、冷え性、肩こりや腰痛の症状が緩和されます。
大根には多くの効能があります。まさに健康野菜の代表選手ですね。
<POP>
※ おでん・ふろふきであったか大根
※ 栄養豊富な大根で美しく
※ 食べるクスリ大根
|
|
|