里いも




「里いも」(サトイモ科)
原産地・・・マレー半島

低カロリーでダイエットに最適!!! 

山でとれるいもを山いもというのに対して、人里で栽培されるいもなので里いもと言います。 里いもはマレー半島が原産で、マレー族の移動とともに各地に伝播した。現在はインド・東南アジア・東アジア・オセアニアで広く食べられている。ニューギニアやメラネシアでは、日本と同じように秋の満月の夜、芋を神に供える風習があるという。 この里いもが日本に伝来したのは古く、縄文中期、稲作が始まる以前に大和民族が主食にしていたという説がある。 親いもに多くの子いもが生まれるところから、子孫繁栄のシンボルとされ、農耕儀礼には欠かせない食物となった。今でも必ず、正月の雑煮に里いもを入れる地方は多い。 里いもが主役の行事といえば、秋になると東北地方のあちこちの河原で盛大に開かれるいも煮会が有名であるが、このいも煮会も元は農作物の豊作を祈る神事であった。 昔から日本人の食生活とは切り離せないものです。様々な品種改良の末、現在では里いもの仲間は200種類を数えるに至っています。和食の煮物料理として根強い需要があります。

<品種>

◎子芋用品種…親芋は食用に向かず、子芋を利用する。

土垂(どたれ)

関東地方で多く栽培される子いも用品種で、コロンとした楕円形の里いもです。
一般に品種名で売られることがなく、関東で里いもといえばこの土垂をさします。肉質がねっとりしていて柔らかく、煮くずれしにくいのが特徴で、粘りを取って煮る含め煮や、ぬ めりを残して煮る煮ころがしが伝統的な料理法です。
一年中出回る。

石川早生(石川小芋)
土垂と並ぶ、子いも用品種の代表的存在の石川小芋とも呼ばれる品種です。陰暦8月15日の月見は、昔からいも名月といわれますが、これはちょうどそのころから出始める小芋を伝えたことに由来します。皮ごと蒸したきぬ かつぎは、平安時代の女性のかぶりものからこの名がつきました。
 8〜9月に出回る。

◎親芋用品種…子芋の着生が少なく、肥大せず、親芋が大きくなる品種。

京芋(たけのこいも)
正式にはたけのこいもと呼ばれ、その名のとおり、地上に頭を出している形がたけのこによく似ている親いも用品種です。長さが60pになるものもあり、寒さに弱いため、おもに九州で栽培されます。肉質は粉質で煮くずれしにくいので、煮物に最適。
 12月〜2月の冬場に出回る。

◎親子兼用品種…子芋・孫芋の着生、肥大は子芋専用種ほどよくないが、親芋は肥大し、子芋。親芋ともに利用される。

唐芋(えびいも)
唐いもと呼ばれる品種ですが、土寄せをして特別に肥培されたもので、形がエビに似ているので、この名のほうがポピュラーです。京都では特に高級品として扱われ、ホクホクした粉質で荷くずれしにくく独特な味わいがあります。このえびいもと棒ダラを煮たいも棒は、京都の伝統料理のひとつになっています。

セレベス
インドネシアのセレベス島から伝えられた里いもです。芽が赤いのが特徴で、子いもは大型で粘質、親いもは粉質と粘質の中間ぐらいの口当たりで味はよく、おでんやうす味の煮物に向きます。寒さに弱いので、おもに九州地方で栽倍されています。

八つ頭
子いもが分球しないため、ゴツゴツとした塊状に育ちます。肉質は粉質でほっくりしており、味もよいので里いもの中では高級品として人気があります。また、末広がりで人の頭に立つ意味から、正月のおせち料理に使うことが多く、関西では雑煮に入れる風習も残っています。また、茎もえぐみが少ないので、ずいきやいもがしらとして利用されています。

◎葉柄用品種…葉柄を利用するもの。植物学的には、里いもと別 の種類とされている。野菜として流通しているものは、はすいも、白だつ、山津水いも、ビンロウシンなどがある。

ずいき(緑)
ずいき専用のはすいもの葉柄。柔らかく、えぐみはない。皮をむき、水にさらしてから乾燥し、保存食に。有名な肥後ずいきはこの種類です。

ずいき(赤)
唐いもや八つ頭などの葉柄。太くて大きいので、ずいきとして食用にする。皮をむいてゆで、酢の物やお汁の具などにします。


<出回り期>
周年出回っているが、石川早生は8月〜9月、土垂は秋冬期、京いもは1〜2月が最盛期。12月〜3月には中国産が輸入されているが、輸入量 は減少している。

<主産地>
@千葉 A宮崎 B鹿児島 C埼玉 D栃木 ………… など。

<選び方>
いろいろな形の里いもがありますが、どれもそれぞれの品種特有の形をしていて、泥付きで皮が茶褐色で、少し湿りけのあるものが新鮮です。えびいもや京いもは皮の節が平行にきれいにそろっているものが良品です。

<保存方法>
里いもは南の国生まれなので、寒さと乾燥にとても弱く、冷蔵庫に入れるとかえっていたみを早めます。新聞紙に包んで、冷暗所で保存するとかなり長く保存できます。また、皮をむいてあるものはできるだけ早く使いきること。残った場合は硬めに茹でて冷水で急激に冷ましてから水気をふき、ラップに包んで冷凍保存するとよいでしょう。

<栄養価>
里いもの主成分はでんぷん質ですが、水分が多いので低カロリーです。また、ビタミンB1、B2が豊富で、いもの中ではカリウムがもっとも多いのが特徴です。里いものぬ めりは、ガラクタンと言われる炭水化物とタンパク質が結合したものと、食物繊維のマンナンです。この、ガラクタンは脳へ刺激を伝えるときに欠くことのできない成分で、里いもは脳を活性化させ、老化防止に大変効果 があります。また、食物繊維はさつまいもとほぼ同じ。いも類の中では、いちばんカロリーが低いのでダイエットにも最適の野菜です。健胃作用、肥満防止、動脈硬化予防、便秘予防、高血圧予防、糖尿病の予防に効果 があるといわれています。

<調理のコツ>
◆ぬ めりがあるので注意して切ります。
里いもには独特のぬめりがあるので皮をむくときは注意が必要です。まず皮についた土をタワシでこすりながら洗い流し、水気をきってしばらくおきます。表面 が乾いてから皮をむくとむきやすくなります。よく使う六方むきは、里いもの上下を切り落とし、六面 になるように上から下へ皮をむきます。指に塩をつけるとすべりにくくなります。

◆里いものかゆみは酢水で防ぐ。
里いもの皮に近い部分には、山いもと同じシュウ酸カルシウムの針のような結晶があり、これが手に刺さることで、かゆみを引き起こします。手で扱うときは、酢水をつけるとかゆみをある程度防ぐことができます。もし、かゆくなっても水で洗えば大丈夫です。 

◆里いもは水から茹でる。
里いもを煮る場合は、水から茹でます。沸騰している中に入れると表面 に近いほうが早く煮え、荷崩れしやすいばかりか、中に芯が残る場合があるからです。また、独特のぬ めりは、含め煮などの場合に味の含みを悪くしてしまうので、塩などでもんでぬ めりを取ってから調理することが多いです。 ただし、ぬめりには栄養成分が多く含まれているので、味をとるか栄養をとるかは、好みや状況に応じて選んでください。