にんにく




「にんにく」(ユリ科)
原産地・・・中央アジア

にんにくパワー! 新陳代謝を活発にする!!

にんにくの語源は「忍辱にんじょく」といわれ、仏教では禁じられていたが、忍んで食べたところから名づけられたという。

原産地は今もって確定しないが、多分中央アジアあたりであろう。古代エジプトの時代香辛料や強壮剤として使われていました。
欧州では、ギリシャ・ローマを経て地中海地方に広がり、ラテン民族系の人々に好んで利用されてきた。東欧にも栽培が多い。アメリカへは18世紀に入ってからである。
アジアでは中国・朝鮮をはじめとして東南アジア全域にまで広く分布し盛んに利用されている。 日本には、奈良時代に中国から朝鮮経由で入りましたが、生来の淡白好みの口には合わなかったこともあって、薬用以外には、あまり広まりませんでした。
しかし、戦後の食生活の変化、特に中国料理の急速な浸透により消費が拡大しました。
また、健康志向に伴って需要は伸び、かなりの量が輸入されています。

<品種>
にんにくは種子が出来ないので品種は多くなく、日本の主な品種は、壱州早生、遠州極早生、上海早生、嘉定白、ホワイト六片、福地ホワイトなどの品種がある。
また、関東以南の暖地系品種と東北の寒地系品種があります。
分けつしない球形の品種もあり、中国から輸入され、「高山にんにく」「プチにんにく」という商品名で流通している。

壱州早生(いっしゅうわせ)
暖地系の品種。球も、食べる鱗茎も、外皮は白色に近い淡褐色。

ホワイト六片
寒地系の品種で現在もっとも多く栽培されている品種。球も鱗茎も外皮は白色で、鱗片の数も5〜6と少なく調理に使いやすいものです。

一片種
玉ねぎのように鱗片の数がひとつで、調理に使いやすいものです。においの少ないものが多いです。

茎にんにく
にんにくの鱗茎を大きくするため、若取りした花茎。中国野菜のひとつです。
「にんにくの芽」とも呼ばれ、煮物や炒め物に使われます。

葉にんにく
中国からの輸入品が主で、蒜苗(ソアンミャオ)の名で出回っている。国内でも生産されている。炒め物などニラと同じように使われている。

<出回り期>
青森産は、周年安定して出回っていますが、新物が出回るのは5月〜9月である。中国産は周年安定して輸入されている。

<主産地>国内産の70%を占める青森県をはじめ、香川、宮城、長崎、佐賀、徳島、高知など。

<選び方>
粒が大きく丸く、硬くしまり、乾燥が完全であるものがよい。ただし、乾燥し過ぎているものは軽くなり中身が少ない。
芽が出かかっているものはよくないですね。
国産物は6片に分けつしていますが、中国産は分けつ片数にばらつきがある。

<保存法>
にんにくは保存性が高いので、ネットや紙袋に穴をあけて風通しのよい所に置けばよいでしょう。 また、冷蔵庫で保存する場合は、温度が0℃、湿度が60〜70%に保たれるチルドルームが最適です。 冷凍することも可能です。にんにくをそのまま冷蔵庫の冷凍室に入れ、使う時は一片づつ凍ったままスライスやみじん切りにします。

<栄養価>

強壮剤としてのにんにくは古代から有名で、疲労回復と新陳代謝促進作用があるスコルジニンという成分があります。このスコルジニンが新陳代謝を活発にすることにより、体内に取り入れられた食べ物は十分消化吸収され、栄養分が体のすみずみにいきわたります。また、にんにくのにおいの素であるアリシンもにんにくの強力な薬効を担っています。ビタミンB1の吸収を高め、疲労回復に効果があり、風邪や気管支炎の原因になる連鎖球菌やブドウ球菌を殺す強い抗菌作用ほか、免疫力を高める効果も確認されています。
これらの効果は生食の場合特に強烈で、疲れ気味のときや、風邪のひきがけのときに、一片の生にんにくを食べると、効果はてきめんです。コレステロールを下げる効果及び、血行をよくする効果、咳を止める効果などもあり、数え上げればきりがないほどです。
加熱すると抗菌作用は若干弱まりますが、においがやわらぐので食べやすくなります。
にんにくは食べすぎないように。
体にいいにんにくですが、食べ過ぎは貧血の原因になるともいわれます。摂取量の目安としては、生なら一日一片、加熱調理したものなら一日三片程度。それも2〜3日に一度で十分です。
この目安は、あくまで個人差があるのでまず軽めに食用を始め、自分の適量を見つけましょう。摂り過ぎると腸内の善玉菌も抑制してしまうので要注意です。

<利用法>
薬味、串焼き、餃子、にんにく酒、しょうゆ漬、ガーリックステーキなど。
鱗片をばらして薄皮をむき、すりおろしたり、みじん切りで使う。唐揚、ホイル焼きにするとホクホクしておいしい。
にんにくは、フランス、イタリア、スペイン、中国などの料理に欠かせないもので、いろいろなレシピがありますが、なかでもキムチをはじめ、にんにくなしでは語れないのが韓国料理です。韓国料理には食べて美味しいだけでなく、薬効があって身体のためになることを重要とする考えがあるのですが、その象徴が「薬念」といわれる基本調味料です。
これはにんにく、トウガラシ、ネギ、ゴマ、ショウガ、醤油などを混ぜ合わせたもので、焼き肉のタレもその一種です。疲労回復ににんにくがたっぷり入ったタレで焼き肉を食べるのは、理にかなった食べ方といえます。
食用以外にもいろいろな形でその薬効が利用されています。たとえば「にんにく風呂」です。にんにく2〜3片をスライスしてお風呂にいれると、スコルジニンが末梢神経を刺激して、体がポカポカ暖まります。疲労回復にためしてみてはいかがでしょうか。

<にんにくの消臭法>
パワーの源のにんにくですがやはり気になるのは食後のにおい。これはにくにくに含まれる硫黄化合物が、体内で分解されてできた成分です。呼吸や汗などにも含まれて出てきます。このにおいを抑えたいときは、ガムや歯磨きのほか、クレソンやパセリなどの香草野菜、コーヒーや緑茶、牛乳などを摂ると、ある程度効果があります。

<調理のポイント>
基本の切り方・下ごしらえを…。
◎薄皮をむく…包丁の刃元でにんにくの根を切りながら、ついてくる薄皮の 一部をはがします。あとは包丁を使わず、切り口のほうから手でむきます。
◎薄切り…スパゲッティなどに使う場合、にんにくを押さえながら横に芯ごと薄切りにします。青菜炒めなどのときは、繊維と平行に縦に薄切りに、前者はカリッ、後者はしんなりなじんだ食感が味わえます。
◎せん切り…にんにくを縦に薄切りにし、少しずつずらして重ねて手で押さえ、用途に合わせて1〜2o幅に切ります。
◎みじん切り…せん切りにしたにんにくを、きちんと横方向にそろえて手でしっかり押さえ、端から細かく切っていきます。
◎つぶす…香味を早く出すのに効果的です。家庭ではすりこぎなどを使い、1〜2度たたいてにんにくにひびが入る程度が目安。小さいので手をたたかないように注意します。


<にんにくのあれこれ>
にんにくは、古代エジプト時代には食用としていた野菜で、ギリシャ、ローマ時代には、労働者、兵士など肉体労働に係わる人々が好んで食べていたという。日本でも、ねぎ・にら・にんにく・らっきょう・のびるは、「五辛」といって、不浄、悪疫を払うといういわれがあった。
日本で、古くから栽培されていた青森県弘前市には、蒜(にんにく)神社があり、にんにく祭りが行われている。市で買ったにんにくを束ねて、戸口に飾り、無病息災と魔除けにするという風習が残っているという。にんにくの大産地だけに、生活習慣の中に根づいている。