栽培きのこ





きのこを食べて、健康になろう!!

 
きのこは昔から、食べる薬と言われ、驚くほどの薬効がある優れた食物なのです。 種類も多く、秋の味覚として香りや味を楽しめるきのこには、素晴らしい健康効果があり、世界中で注目されています。

 きのこは、人類よりもはるか以前から地球に存在していたようです。温暖で湿潤な日本には実に2000種以上のきのこが自生しており、食用にされた歴史も古く、「万葉集」や「今昔物語」などにも登場しています。勿論、当時は野生のものを採っていましたが、その中で特に味が良くて栽培の容易なものが、市場に流通するようになりました。
 栽培きのこは、現在の所15種類程ありますが、今なお研究が進められて種類が少しずつ増える傾向にあります。

栽培きのこ、いろいろ
≪椎茸(しいたけ)≫…キシメジ科
 椎茸は日本を代表する栽培きのこで、年間生椎茸は約7〜8万t、干椎茸は1万t程度生産されています。
 栽培の始まりは1600年代の九州豊後国(大分県)とも伊豆の天城山とも言われ、当時は鉈目を入れたクヌギの原木に自然の胞子が付着するのを待つきわめて原始的な方法でありました。その後改良が加えられ、昭和になって椎茸菌を純粋培養した種菌(種駒)が考案され、生産量が飛躍的に増大しました。
 栽培方法は、クヌギやコナラなどの原木に菌を植え付ける栽培や、おがくずと養分をブロック状に固めた菌床に菌を植え付ける栽培がありますが、最近では菌床栽培が中心になり全国で生産されるようになりました。
 生椎茸の主産県は群馬・茨城・栃木などでありますが、中国産の輸入物も市場に多く出回っています。

≪えのきだけ≫…キシメジ科
 天然のえのきだけは黄褐色で傘も大きく開いた形ですが、栽培ものは品種改良と独特の栽培方法で、柄がヒョロッと長く、白いもやし状です。
 古くはなめすすきと呼ばれて食用にされていたようで、平安時代の『梁塵秘抄』(りょうじんひしょう)には「まつたけ・ひらたけ・なめすすき」と言う記載が見られます。
 江戸時代になると、えのきの出そうな木を暗く湿った穴の中に置いて、むしろを掛け米のとぎ汁をまきながら発生させた栽培記録も残っています。現在では長野県が主産地ですが、鍋物には欠かせないきのこです。


≪ぶなしめじ≫…キシメ科
 最近まで本しめじと言う名で市場に出ていましたが、学術的にはまったく別種なので、今では必ず、ぶなしめじと正式名で呼ばれるようになりました。栽培きのことしては比較的新しい物で、傘に大理石状の模様があり、柄が太く、歯ごたえ味ともに優れているため、消費量も多く椎茸、えのきたけに次いて3番目の生産量を誇っています。

≪しめじ≫…ヒラタケ科
 しめじも正式名称ではなく、ひらたけをビン栽培して、早いうちに出荷した物につけられた商品名です。傘の色が濃い灰色で柄は白く、小さな傘が密集しています。
 本物の"しめじ"は本しめじと言う、まったく別種のきのこです。


≪ひらたけ≫…ヒラタケ科
 傘の形が手に似ている事から、ひらたけと呼ばれています。
 短く切った原木を用いた栽培に成功し、ひらたけの名で市場に出始めました。傘は淡い灰色でひだは白色、軸が傘の横についています。
 栽培されたひらたけは、味も香りも淡泊なので、どんな料理にも無理なく使えるきのこです。


≪まいたけ≫…サルノコシカケ科
 昔からまいたけの自生している場所は、たとえ親でも教えないと言われるほど美味なきのこで、とても珍重されてきました。長い間栽培は無理とされていましたが、25年ほど前に人工栽培に成功し、現在では市場にもかなり出回っています。
 香りは野生のほうがはるかに優れていますが、栽培の研究も進み、かなり良い物が出回るようななりました。
 洋風・和風・中華風とどんな料理にも活用でき、独特の歯ごたえと旨味で人気のあるきのこです。


≪エリンギ≫…ヒラタケ科
 ヨーロッパ原産のきのこで、日本で最初に栽培を始めた愛知県の林業センターでは、カオリヒラタケと名づけています。愛知県のほか、静岡県や長野県などで栽培されるようになり、地方によってはミヤマシメジとも呼ばれています。
 シコシコとした食感が特徴で、ビタミンB1や食物繊維が豊富です。手で大きく裂いて網焼きにしたり、バターソテーにすると美味です。


≪マッシュルーム≫…ハラタケ科
 日本での正式名称はツクリタケですが、洋風料理の普及につれて栽培されるよう になったため、英名のマッシュルームの名で親しまれています。
 世界中で最も多く栽培されているきのこで、アメリカやフランス、中国、オランダが主産国です。
 わらや馬厩肥、化学肥料を混ぜた合成堆肥を菌床にして、低温で栽培されます。独特の香りと口当たりは、サラダやスープ、シチュー、バターソテーなど洋風料理に欠かせない存在です。


≪なめこ≫…モエギダケ科
 かっては天然のなめこを缶詰にしたものが主流でしたが、今ではビンや袋を使った、おがくず栽培のものがほとんどになりました。
 独特のぬめりと歯切れの良さが特徴で、お汁の実やおろしあえ等によく使われます。

見分け方 ∞∞傘が割れたり、軸の折れない物を∞∞

 きのこ類は種類も形もさまざまなので一言では言えませんが、一般に傘が割れたりしていないもの、軸が折れたりせずピンとしているものが良品です。

保存法 ∞∞冷凍やオイル漬けで保存すると重宝∞∞
 きのこ類はほとんどが水分なので、生のまま保存する場合はポリ袋に入れ、冷蔵庫の野菜室へ入れてもせいぜい1〜2日までしか持ちません。オリーブ油で炒め煮にし、オイル漬けにして保存すれば1ヶ月は持ちます。

調理のコツ ∞∞加熱は強火で短時間が、歯ごたえを残す方法∞∞
@ 洗い方
 一般にきのこ類は水をきらうので、使うときも水洗いはしないほうが香りも逃げません。
 傘の裏のひだについた汚れは、上から軽くたたくようにして払い落としたり、ハケで払い落とし、ふきんで傘全体をふくようにすれば、たいていの汚れは落とせます。どうしても洗いたい場合には、手早く流水の下で洗いすぐに水気をふき取るようにし、長く水にさらしておかないようにしましょう。

A 切り方
 きのこ類の処理として必ず石づきを切り落とすことです。
 石づきは菌床に近い、植物でいえば根に当たる部分です。きのこによって石づきの範囲も違いますから、そのきのこに合せて切り落とすようにします。
 しいたけは根元の硬い部分を切り落とします。残った軸の部分は細く裂いて使えます。
 えのきだけは根元の密集した部分の少し上を切り、まいたけの場合は根元近くを切り落とします。


B 加熱
 きのこ類を炒める場合は強めの火加減で手早く火を通すようにします。水分が多いので、弱火で加熱すると水分と一緒にうまみも流れ出てしまいます。
 煮込み料理に使う場合も、はじめにバターや油で炒めてから加えるようにします。油の吸収がよいので、使う油脂は上質のものを使うようにしましょう。


きのこの効能
【しいたけ】〜風邪・インフルエンザの予防に
 毎年、シーズンになると風邪やインフルエンザが心配と言う人に、是非食べて頂きたいのが「しいたけ」です。
 しいたけに含まれるリボ核酸と言う成分には、悪質なインフルエンザウイルスの増殖を抑え、免疫力を高める働きがあります。

【ひらたけ】〜肥満予防・血栓予防に
 ひらたけのポルという新成分には、脳の満腹中枢を刺激して過食を抑えてくれる効果があることが最近になってわかりました。
 また、ASK−1という新成分には、血液をサラサラにして、動脈硬化のもとになる血栓を溶かす働きがあります。

【エリンギ】〜便秘解消・脂肪肝予防に
 エリンギは食物繊維が豊富なので便秘解消に効果的なのはもちろんですが、最近では脂肪肝を予防する働きがあることもわかりました。たとえばコレステロールの高い食事を取っても、エリンギを一緒に食べると肝細胞に脂肪が沈着するのを抑えてくれるという、うれしい効果があります。

【なめこ】〜美肌効果・骨粗鬆症予防に
 美肌効果と骨粗鬆症予防にいいとされる成分、トレハロースは、化粧品にも使われている天然成分で、きのこ全般に含まれている糖の一種です。その中でも、特に多く含むのがなめこです。
 トレハロースは、骨を壊す細胞の働きを抑制し、さらに皮膚細胞の中で水分に代わる働きをします。
 骨を守って、お肌も乾燥から保護してくれますので、特に女性にとっては積極的に食べたい食材のひとつです。
 なめこの健康効果はあのネバネバの中に凝縮されているので、ぬめりは残さずいただきましょう。


こんなこと知ってる?
※しいたけの軸は捨てずに活用しましょう!!
 しいたけは軸にもうまみがあるので、おおいに活用したいものです。
 料理に使う時は、手で細く裂いて加えます。料理によって傘だけを使う場合は、はずした軸の石づきを切り落として、手で細く裂いて、ザルなどに広げて天日で干します。乾燥したらビンなどに入れて保存し、干ししいたけ同様、水にもどして使います。

※きのこは健康効果バツグンのヘルシーな食材!!
 きのこはノンカロリーといわれていますが、実はエネルギー値を算出していないだけで、厳密にはわずかでもエネルギーはあります。ビタミンDが豊富に含まれ、コレステロールを低下させる働きもあり、とてもヘルシーな食材です。