バナナ




(バショウ科バショウ属) 原産地…東南アジア地域

万人向きの手軽な エネルギー源!!

 
国内ではほとんど作られていませんが、一年を通して考えれば、日本人の食生活にもっとも密接なフルーツがバナナです。安くて手ごろ。朝食代わりにもなる栄養価抜群のくだものです。
 バナナの原産地は東南アジアの熱帯地域と考えられています。紀元前には、中に小豆粒ほどの種がぎっしり詰まった原種があったようですが、突然変異によって種無しが出現し、それを何世紀にもわたって改良を施し、現在に至っています。赤道の南北ほぼ30度内が主力産地の地域であり、このあたり一帯を「バナナベルト地帯」と呼ぶ人もいるようです。
 バナナがフルーツとして広く人々に認知されたのは18世紀にアメリカ・ヨーロッパに普及した頃からです
 日本にはポルトガルの宣教師ルイス・フロイスによって織田信長に献上されたのが最初。明治時代には台湾から輸入されるようになり、取引が始まりました。台湾産を中心にしばらくは輸入が活発化しましたが、それでも当時のバナナは庶民にとっては高嶺の花。高価すぎてなかなか食べられる物ではありませんでした。昭和38年よりバナナの輸入は自由化され、それを機にフィリピン産を中心に大量に出回るようになり、ようやく一般の人々にも安価に手が届くものとなったのです。

<品種>
 最近は品種改良も盛んで、ますますおいしさが追求されています。
 バナナにも品種は生食用で100種以上、全体では300種以上あるといわれています。
◆ ジャイアント・キャベンディッシュ
 鮮やかな黄色の表皮とクリーム色の果肉が美しく、日持ちに優れた品種です。
 私たちが普段良く食べるバナナの多くはこの品種ですが、キャベンディッシュ系にも数多くあり、最近ではこれに台湾系品種をかけあわせるなど、品種開発が一層盛んになってきた感があります。

◆ 北蕉(ほくしょう)
 台湾バナナの主力品種。台湾バナナは味が濃厚で果肉が緻密なのが特徴。
 この品種の変種である仙人蕉(せんにんしょう)という品種もポピュラー。

◆ モンキーバナナ
 セニョリータともいわれる長さ7〜9cm、太さ2.5cm程度の小柄なバナナ。味は甘く、やわらかい果肉であり、デザート用として人気が高い品種です。

◆ モラード
 色が赤みがかった橙色なのが特徴的で別名「レッドバナナ」。果肉は黄白色。甘みが強く、香りも強めです。


<主産地>
 日本では沖縄で作られていますが、全国的に消費されるバナナはほとんど全てが海外からの輸入物です。主力はフィリピン産で、エクアドル、台湾などもポピュラーです。
 世界的には、最大の産出国はエクアドルであり、以下コスタリカ、コロンビアと続きます。中南米で世界全体の70%を産出しています。

<出回り期>
 フィリピン産、南米産は周年出回っている。台湾産は3〜5月が主力。最需要期は3〜5月で輸入量が多い。

<選び方>
 熟するにしたがってどんどん色が変わっていくバナナですが、一番おいしいのはどのタイミングでしょう。好みにもよりますが、甘さがもっとも強くなるのは、表面に茶色いぽつぽつが出ている時です。このぽつぽつの斑点を「シュガースポット」といいます。


<保存法>
 バナナに冷蔵庫は厳禁……すぐに黒ずんでしまい、甘く熟す前に腐敗が始まってしまいます。低温に弱いフルーツなので、常温で保存しましょう。
 袋入りの房で購入した場合、エチレンガスが中に溜まると熟度が早く進行してしまうので、一つずつ分けてビニール袋に入れ、輪ゴムなどで閉じておくと数日は長く持たすことが可能になります。

<栄養価>
 バナナは数ある食品群の中でも抗酸化力が非常に高い食品であり、この点からもガン予防に効果的。また、生活習慣病全般に抗力を発揮してくれます。
炭水化物を多く含むので、カロリー摂取に最適。他のくだものと比べて格段のエネルギー量を誇ります。
 一流のスポーツ選手には試合前にバナナを食べる人が少なくありません。これは、バナナには複数の種類の糖質が含まれており、エネルギーを継続的に長時間にわたって生産することができるという長所による物です。
 でんぷん・ブドウ糖・果糖・ショ糖といった糖質は、それぞれ体内に吸収される時間が異なります。バナナにはこれら糖質群がすべて含まれているのです。
 また、カリウムの含有量の多さもバナナの長所のひとつです。カリウムは筋肉が活動するには必須のミネラル。長時間の運動による筋肉のけいれんなどを防ぐことにも大変効果があります。また、精神のいらいらを解消したり、余分な塩分を体外に排出して血圧を下げる効果も有ります。その他、ビタミン類も多く含み、特にAとCが豊富。
 消化に良いので、離乳食にもよく利用されています。
 エネルギー補給、体力強化、高血圧予防、便秘予防などに効果があります。 す。

<バナナのあれこれ>
 普段われわれが食べているバナナは黄色ですが、海外から船で運ばれ、日本に到着した時はすべてが青い色(濃緑色)をしています。この「青バナナ」はまだ熟していない状態であり、このままでは食べられません。これを日本国内で特殊な方法により追熟されることによって色が黄色に変わり店頭に出されるのです。

 未熟な状態で輸入する最大の理由は害虫問題です。バナナ産地は「ミカンコミバエ」などの害虫の分布地域で有り、この害虫は熟したバナナには寄生しますが、未熟の青バナナには寄生しない事が判明しています。このため、熟したバナナの輸入は植物防疫法によって禁止されているのです。